6月17日の神戸新聞に夢広の会の活動が掲載されました
新型コロナウイルス 村への緊急支援の経過報告 その1
これまでの経緯
5月26日(水)
パタンジェ村支援のきっかけになった村出身の青年サンカル君から、パタンジェ村で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が出て、死者も出たと連絡がありました。
すぐに緊急支援を始めることを決め、支援物資のマスクと消毒液の手配をお願いしました。
近隣の町サレリに物資がないため首都カトマンズで手配する事になりました。
5月30日(日)
サンカル君にお願いして手配した、マスクと消毒液を村に向けて送りました。
首都カトマンズがロックダウンのため、近隣の町サレリなどの病院の車に協力いただき2回に分けて運びました。
パタンジェ村の入り口の村ダープまで病院の車で運んだ支援物資は、5月31日、雨の中、村の若者たちがバイクでパタンジェ村まで運んでくれました。
6月1日(火)
村人が近くの村と協力し、新型コロナウイルスの検査を政府に要請した結果、ネパール政府により新型コロナウイルスの抗原検査が行われました。
パタンジェ村では35人が検査を受け、その結果、新たに7人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。
新たに新型コロナウイルスに感染した人たちは、以前の検査で感染が確認された人たちの家族や濃厚接触者ではないようで、今後の感染拡大が心配されます。
6月2日(水)
「夢広の会」からの支援物資である「マスク」と「消毒液」を集会所前の広場で配りました。
マスクは50枚入りを2箱(100枚)、消毒液は500mlを1本、各家に配りました。
村の代表者からの感謝のメッセージ
村の代表から「夢広の会」の今回の支援に対して、感謝のメッセージが届きました。
夢広の会の皆様へ
1年前から世界中に広がっている新型コロナウイルスは、パタンジェ村でもひどくなり、感染者がどんどん増えていたところ、とても必要なマスクや消毒液を届けてくださり、本当にありがとうございました。
何度も何度も困難な時に様々なサポートをして頂き、私達パタンジェ村の皆は心から感謝いたします。ありがとうございます。
パタンジェ村代表より
これからの活動について
資金による援助
今後ますます新型コロナウイルスの感染が広がり、ロックダウンの中、物流が止まれば食料の問題なども心配されます。
ジャガイモやトウモロコシそして豆などは、各家で収穫して貯蔵していますが、お米や食用油、それに調味料などは村の外から買っています。すでに色んな生活用品や食料品の価格が高騰していて、手に入れるのが難しい状況になりつつあります。
そんな中、食料品への支援を求める声も上がっています。
今回の支援活動は緊急事態によるもので、援助資金調達についても今後考える必要があります。
支援のあり方
また、私達「夢広の会」は今回の緊急支援で、物やお金による支援だけでなく、新型コロナウイルスの正しい知識や情報を伝えることも大切だと思っています。
現地と情報を共有しながら、今後も見守っていきたいと思います。
ご支援・ご協力のお願い
世界的に新型コロナウイルスで大変な時ですが、会の活動にご賛同いただける方は、ご支援ご協力いただきますよう、よろしくお願い致します。
支援金のご協力は下記口座へお願いします。
<ゆうちょ銀行からお振込>
ゆうちょ銀行 総合口座
[記号] 14370 [番号] 20413031
[口座名義] 夢広の会
<その他銀行からお振込>
ゆうちょ銀行 四三八(ヨンサンハチ)支店
普通預金 [口座番号] 2041303
[口座名義] 夢広の会
新型コロナウイルス 村への緊急支援始めます
パタンジェ村で新型コロナウイルスの感染者・死者が出ました
インドで新型コロナウイルスの急激な感染拡大が起こっていると日本で報道されていますが、インドに隣接するネパールでも、現在、一日に約8,000人が新型コロナウイルスに感染していて、首都のカトマンズはロックダウンしています。
そんな中、5月26日に、夢広の会が支援しているパタンジェ村出身の青年サンカル君から「パタンジェ村で新型コロナウイルスの感染者が出ました。」と連絡がありました。
サンカル君は夢広の会発足のきっかけになった青年で、昨年春に日本で就職、今年の春、結婚のためネパールへ一時帰国をしていました。5月中旬に日本へ戻る予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため飛行機が飛ばず、カトマンズで足止め中です。
サンカル君によると、パタンジェ村近くの村で新型コロナウイルスの感染が広がっており、数週間前からパタンジェ村でも、咳や熱の症状がある人が出てきたそうです。体調が悪い人を検査した結果、10人ほどが新型コロナウイルスへの感染を認定され、自宅療養のなか36歳の女性が亡くなったという話でした。
村では他の村との往来を禁止し、各家との行き来もやめているそうです。
村にはケガや簡単な病気などの治療が出来る診療所があるだけで、医療施設も充実していないため、このままでは、新型コロナウイルスの感染が広がっていく恐れがあります。
そこで夢広の会では、急ぎ、新型コロナウイルス感染に対するサポートを始めることにしました。
パタンジェ村への緊急支援
今すぐ出来るサポートとして、不足しているマスクと消毒液を至急村に送ることにしました。
現在、日本からネパール行きの飛行機が飛んでいないため、日本から物資を送ることができません。パタンジェ村近くの町にも物資がないため、比較的物資があるカトマンズにいるサンカル君に、マスクと消毒液を至急手配するようお願いしました。(カトマンズではマスクなどの物資は高騰しているそうです。)
首都カトマンズがロックダウンしており、普通の車の出入りが出来ないため、村出身のお医者さんの助けを借り、近々購入した物資を病院の車で運ぶそうです。
また、パタンジェ村近くの町「サレリ」にいる村出身のお医者さんに、何が必要か相談してもらいました。
5月27日には、村の代表が集まって、「夢広の会」にお願いしたい事について話し合いがあったようです。
物資を送るだけではなく、マスクの効果的な使い方など、新型コロナウイルスに対する正しい情報や知識を村人に伝えることが大切です。
今後も村の状況を把握しながら村人の希望を聞き、私たちにできるサポートを考えていきます。
耐震モデルハウスに隣接した「キッチンハウス」の建設(パタンジェ村の近況)
今回は、「夢広の会の活動について」と「パタンジェ村の動向(キッチンハウス建設)」について報告します。
夢広の会の活動について
現在、夢広の会は新型コロナウイルス(covid-19)の世界的な感染拡大の影響により、「ネパール・パタンジェ村の訪問」が出来ず、村への支援も停滞をしてしまっている状態です。
私たちは、パタンジェ村を支援するにあたって、一方的にお金を渡すだけでは「村の抱える課題の本当の解決」にはならないと考えており、実際に村を訪問し、教育を受ける機会が少なかった村人たちに知識や技術を伝えることが大切だと考えています。
そのため、2020年春より計画している「女性のためのコミュニティハウス建設」も現地を訪問しての話し合いを行うことが出来ないため、中断を余儀なくされています。
新型コロナの感染拡大が収束し、一日でも早く活動が再開できることを望んでいます。
パタンジェ村の動向(キッチンハウスの建設)
夢広の会が支援して2017年に建設された「耐震住宅モデルハウス」(別記事参照)の隣に、昨年(2020年)、「キッチンハウス」が建設されました。
このキッチンハウスは、「耐震住宅モデルハウス」建設の際に、村の大工さんたちが学んだ「耐震性能が高い建設方法」を活かして建てられています。なお、キッチンハウスは夢広の会の支援を受けて建てられたものではなく、村人たちの努力により建てられたものです。
耐震住宅モデルハウスは、冠婚葬祭のイベントや村の集会の際に活用されていますが、大規模なイベントの際に屋内で200~300人分食事を作るための施設として、今回のキッチンハウスが新たに建設されました。
耐震住宅モデルハウスが出来るまでは、冠婚葬祭等のイベントは屋外の広場で行われていました。その為の食事の準備も屋外に一時的なカマドを作り行われていて、イベント前日からカマドの準備を行うため、雨天の際などは大変苦労していたそうです。
夢広の会がパタンジェ村の大工さんに伝えた「耐震住宅を建てるための技術」を使って、村人たちがこうした施設を自分たちで建て、活用していくことは、大変嬉しいことだと思います。
「女性のためのコミュニティハウス」建設
村の女性の現状と思い
現在では、すべての村の子どもたちは初等教育を受ける機会が与えられていますが、一昔前、パタンジェ村の女性は教育を受けることができない環境で育ちました。
今でも、その考え方が一部で残っており、女性が教育を受けることに否定的な考え方の村人も存在しますが、多くの村人は、男女関係なく子どもによりよい教育を受けさせることが重要であると考えています。
子どもの教育と現金収入
しかし、村には「高等教育」や「質の高い初等教育」を受ける場がなく、子どもにそれらの教育を受けさせるためには、大きな町に子どもを下宿させる必要があります。下宿には現金が必要となりますが、パタンジェ村では現金収入を得る手段がほとんどありません。
村の男性は、「海外への出稼ぎ」や「トレッキング(登山)のガイドやポーター(荷物運び)」などを行うことで現金収入を得ていますが、村の女性は、村での子育てや家事、畑仕事などを行っており、現金収入を得る手段がありません。
女性の自立支援
村の女性たちは、子どもの教育のためにも、自分たちの力で現金収入を得る手段が必要だと考えています。どのようなサポートが必要か村の女性達と話し合った結果、「村での仕事の間に裁縫を行うことで、村の外で売ることができる製品を作り現金収入を得たい」という意見があり、夢広の会では「手芸用の道具のプレゼント」や「現地での手芸教室」を行うこととしました。
手芸教室の開催
そこで、2019年の第8回パタンジェ村訪問(3月18日~4月9日)の際に、村の女性たちの自立支援のために村で手芸教室を開催しました。
手芸教室を開催するにあたり村に手芸の道具がほとんどなかったため、首都カトマンズで足踏みミシン2台とアイロン、布や毛糸などの材料を調達して村へプレゼントしました。
村の参加者を「手編みチーム」と「ソーイングチーム」に分け、それぞれ夢広の会の会員が指導担当になって、現地での指導を行いました。
「手編みチーム」では、かぎ針編みと棒針編みを教えました。サンプルの帽子や襟巻が人気で、サンプルの帽子を参考に、同じ帽子を一晩で作ってきた人がいたり、編み方を習得した村人が別の村人に教えたり、意欲的に学ぶ姿勢が見られました。
「ソーイングチーム」では、村の女性は普段あまり針や糸を使う習慣がなく、またミシンの数も限られるため、ミシンの使い方と一緒に手縫いの方法を指導しました。子供用のズボンや手提げ袋、シュシュなどを作成しました。
課題
手芸教室では多くの女性たちが集まり熱心に手芸の勉強をしましたが、勉強をする場所の環境に多くの問題がありました。
村人から提供された手芸場所は電気が通じておらずとても暗く、明かりを取るために板張りの窓を開けると冷たい空気が入りました。床にも板が張られておらず、作業する為の環境が整っていなかったため、手芸教室の大半は屋外で行われました。
また、他の課題として、「ミシンの調整や整備を出来る人がいない」「手芸材料が手に入りにくい」「村の中で技術指導できる人がいない」などもありますが、今回の手芸教室をきっかけに手芸の勉強を始めた意欲的な女性がいるので、彼女たちが手芸の勉強や作品つくりをする環境を整えることが、我々にできるサポートになるのではないかと考えました。
「女性のためのコミュニティハウス」建設
そこで、夢広の会では、女性たちが集まって手芸の勉強ができ、作品作りができる場所として「女性のためのコミュニティハウス」を建設することにしました。
作業のために必要な環境を考え、以下のような条件を考えています。
- 広さは約30平方メートルで平屋建て
- 基礎はセメント
- 床板を張って、靴箱を設置する(土足厳禁)
- 外壁はトタン
- 窓はガラスを用いた窓
- 屋根はトタン(採光のために一部透明のトタン)
- 電気の配線を行い、照明器具等を取り付ける
上記の条件でのコミュニティハウス建設には、およそ50万円が必要です。
今年度は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、春のネパール訪問は出来ませんでしたが、村の女性達からは「女性達が集まって作業ができる場所が欲しい」、「編み物や縫製の勉強をして、作品を販売したい」などの声が寄せられ、自立への夢や希望が広がっています。
活動にご賛同いただける方のご協力をお待ちしております。
◆コミュニティーハウス建設に対する寄付に関してはコチラ(ひとくち千円)
耐震モデルハウス(活動報告)
ネパール大地震と村の被害
「夢広の会」を結成して1週間後、パタンジェ村への支援を本格的に開始しようとしていた2015年4月25日、ネパール大地震が発生しました。さらに5月12日にはM7.3の余震が起き、その震源地がパタンジェ村に近かったため、村に大きな被害が出ました。
そこで、私達「夢広の会」は村の被害状況の把握のため、2015年9月に実際に現地を訪れました。(第二回パタンジェ村訪問)
村では多くの住宅に地震の被害が出ていました。全壊の家が11軒あり、村の7割の家で半壊や一部損壊の被害が出ていました。地震から5か月近く経っていましたが、パタンジェ村は大きな町から遠く離れた山村のため、政府の支援が十分に届かず、多くの住宅では修繕も行われていない状態でした。
耐震モデルハウス建設
私達が問題だと感じたのは、金銭的支援がないこともそうですが、技術的な支援がされていないことでした。村の大工たちは、地震に強い建物をどうすれば建てることができるかをしらないので、このまま再建を進めても地震に強い建物を建てることができません。
そこで、私達は村に「耐震住宅のモデルハウス」を建設して、建設の過程で村の大工さんたちに耐震技術を学んでもらおうと考えました。耐震住宅建設の技術を村の大工さんに学んでもらうことで、村の自立した住宅再建をサポートすることが目的です。
CODE海外災害援助市民センター
村への技術支援を検討していたところ、2015年11月、神戸市のNGO「CODE海外災害援助市民センター」のグデル村への支援を知りました。
CODEがグデル村で行う再建支援の特徴は、現地にある木、竹、石、土などの資材を利用した耐震住宅による再建を目指すことと、村の大工に耐震住宅の技術を学んでもらい自力での再建を助けることであり、私達がパタンジェ村で行いたい再建支援の参考になるものでした。
そこで、私達はCODEへ協力を依頼し、村の大工に耐震住宅の技術を学んでもらうために、2015年12月初旬からCODEがグデル村で行う耐震モデルハウスの建設に村の大工を参加させていただくことになりました。
グデル村で行われた耐震モデルハウスの建設では、日本とネパールの専門家が地震に強い家の作り方を指導しながら行われ、パタンジェ村からは二人の大工が参加し、耐震住宅建設の技術を学びました。(「CODE」のWEBページ内「ネパール地震救援ニュース No.45」)
耐震モデルハウス建設の準備
グデル村での技術習得の後、パタンジェ村の耐震モデルハウス建設にあたり、2016年5月村を訪問し建設現場の確認と費用概算や建設スケジュールなど相談を行いました。(第三回パタンジェ村訪問)
相談の結果、建設場所は村のスポーツ広場すぐ横の松林の中で、村人達が希望している冠婚葬祭の時や災害時の緊急避難場所として活用できる集会所とするため、規模は約100平方メートルの平屋建て、大広間が2部屋のモデルハウスを建てることに決まりました。
2017年1月村人との最終打ち合わせのため、パタンジェ村訪問し(第四回パタンジェ村訪問)、2月中旬から基礎工事をスタート、3月建物工事をスタートすることとなりました。
耐震モデルハウス建設
2017年2月20日に基礎工事に着工しました。3月初めには建物工事をスタートし、グデル村の大工にも村まで指導に来てもらいました。グデル村の大工は、建物工事始めの10日間と、後半屋根の仕上げ時期10日間の2度指導に来てもらい、木部の結合強化方法などについて指導してもらいました。また、ほとんどの村人が寄付金や無料奉仕で耐震モデルハウスの建設に参加し、村人の自力での再建のきっかけになったのではないかと思います。
耐震モデルハウスの完成
ネパール大地震から2年、2017年5月に耐震モデルハウスが完成しました。今回のプロジェクトには約180万円の費用がかかり、これには西宮市国際交流協会やラッシュジャパンさんの助成金の他、多くの皆様にご支援を頂きました。ご寄付、ご支援くださった皆様、「夢広の会」の活動にご理解とご協力心より感謝申し上げます。