耐震モデルハウス(活動報告)
ネパール大地震と村の被害
「夢広の会」を結成して1週間後、パタンジェ村への支援を本格的に開始しようとしていた2015年4月25日、ネパール大地震が発生しました。さらに5月12日にはM7.3の余震が起き、その震源地がパタンジェ村に近かったため、村に大きな被害が出ました。
そこで、私達「夢広の会」は村の被害状況の把握のため、2015年9月に実際に現地を訪れました。(第二回パタンジェ村訪問)
村では多くの住宅に地震の被害が出ていました。全壊の家が11軒あり、村の7割の家で半壊や一部損壊の被害が出ていました。地震から5か月近く経っていましたが、パタンジェ村は大きな町から遠く離れた山村のため、政府の支援が十分に届かず、多くの住宅では修繕も行われていない状態でした。
耐震モデルハウス建設
私達が問題だと感じたのは、金銭的支援がないこともそうですが、技術的な支援がされていないことでした。村の大工たちは、地震に強い建物をどうすれば建てることができるかをしらないので、このまま再建を進めても地震に強い建物を建てることができません。
そこで、私達は村に「耐震住宅のモデルハウス」を建設して、建設の過程で村の大工さんたちに耐震技術を学んでもらおうと考えました。耐震住宅建設の技術を村の大工さんに学んでもらうことで、村の自立した住宅再建をサポートすることが目的です。
CODE海外災害援助市民センター
村への技術支援を検討していたところ、2015年11月、神戸市のNGO「CODE海外災害援助市民センター」のグデル村への支援を知りました。
CODEがグデル村で行う再建支援の特徴は、現地にある木、竹、石、土などの資材を利用した耐震住宅による再建を目指すことと、村の大工に耐震住宅の技術を学んでもらい自力での再建を助けることであり、私達がパタンジェ村で行いたい再建支援の参考になるものでした。
そこで、私達はCODEへ協力を依頼し、村の大工に耐震住宅の技術を学んでもらうために、2015年12月初旬からCODEがグデル村で行う耐震モデルハウスの建設に村の大工を参加させていただくことになりました。
グデル村で行われた耐震モデルハウスの建設では、日本とネパールの専門家が地震に強い家の作り方を指導しながら行われ、パタンジェ村からは二人の大工が参加し、耐震住宅建設の技術を学びました。(「CODE」のWEBページ内「ネパール地震救援ニュース No.45」)
耐震モデルハウス建設の準備
グデル村での技術習得の後、パタンジェ村の耐震モデルハウス建設にあたり、2016年5月村を訪問し建設現場の確認と費用概算や建設スケジュールなど相談を行いました。(第三回パタンジェ村訪問)
相談の結果、建設場所は村のスポーツ広場すぐ横の松林の中で、村人達が希望している冠婚葬祭の時や災害時の緊急避難場所として活用できる集会所とするため、規模は約100平方メートルの平屋建て、大広間が2部屋のモデルハウスを建てることに決まりました。
2017年1月村人との最終打ち合わせのため、パタンジェ村訪問し(第四回パタンジェ村訪問)、2月中旬から基礎工事をスタート、3月建物工事をスタートすることとなりました。
耐震モデルハウス建設
2017年2月20日に基礎工事に着工しました。3月初めには建物工事をスタートし、グデル村の大工にも村まで指導に来てもらいました。グデル村の大工は、建物工事始めの10日間と、後半屋根の仕上げ時期10日間の2度指導に来てもらい、木部の結合強化方法などについて指導してもらいました。また、ほとんどの村人が寄付金や無料奉仕で耐震モデルハウスの建設に参加し、村人の自力での再建のきっかけになったのではないかと思います。
耐震モデルハウスの完成
ネパール大地震から2年、2017年5月に耐震モデルハウスが完成しました。今回のプロジェクトには約180万円の費用がかかり、これには西宮市国際交流協会やラッシュジャパンさんの助成金の他、多くの皆様にご支援を頂きました。ご寄付、ご支援くださった皆様、「夢広の会」の活動にご理解とご協力心より感謝申し上げます。